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論文

Theoretical study of the adsorption of Cs, Cs$$^+$$, I, I$$^-$$, and CsI on C$$_{60}$$ fullerene

小林 孝徳; 横山 啓一

Journal of Nuclear Science and Technology, 53(10), p.1489 - 1493, 2016/10

 被引用回数:6 パーセンタイル:49.29(Nuclear Science & Technology)

セシウム原子(Cs), ヨウ化セシウム分子(CsI), ヨウ素原子(I), セシウムカチオン(Cs$$^+$$)、そしてヨウ素アニオン(I$$^-$$)のC$$_{60}$$フラーレン表面への吸着についての理論計算を行った。計算はCAM-B3LYP混合密度汎関数法で行った。吸着エネルギーはCs, CsI, I, Cs$$^+$$, I$$^-$$でそれぞれ34, 3, 2, 11, 12kcal mol$$^{-1}$$と計算された。Cs原子の吸着平衡定数は、1000Kにおいて7$$times$$10$$^3$$ atm$$^{-1}$$と計算された。これはCsIのそれと比較して10$$^7$$倍もの数字である。これは、C$$_{60}$$はCsIを吸着せずに、Csを選択的に吸着することができる可能性があることが示唆された結果である。

論文

Formation of fullerene(C$$_{60}$$) by laser ablation in superfluid helium at 1.5K

荒殿 保幸; 和田 晃*; 秋山 和彦; 北澤 真一; 北條 喜一; 楢本 洋*

Chemical Physics Letters, 408(4-6), p.247 - 251, 2005/06

 被引用回数:1 パーセンタイル:3(Chemistry, Physical)

1.5Kの超流動液体ヘリウム中において、レーザーアブレーションで生成した炭素粉末の中にフラーレンC$$_{60}$$が検出された。質量分析からC-12, C-13の分子内分布は、原材料のそれと異なりC-12が多いことがわかった。初期反応過程として、バブル状炭素のトンネル反応によるC2分子形成を提案した。

論文

Laser induced phase separation in the nickel-fullerene nano-composite

Vacik, J.*; 楢本 洋; 北澤 真一; 山本 春也; Juha, L.*

Journal of Physics and Chemistry of Solids, 66(2-4), p.581 - 584, 2005/02

 被引用回数:6 パーセンタイル:30.12(Chemistry, Multidisciplinary)

単一パルスでの発散性のYAGレーザー光を、規則的に孔を空けたメッシュを通して、C$$_{60}$$+Ni混合物薄膜に照射して、2次元形状及び結合状態の変化を、顕微ラマン分光法及び原子間力顕微鏡観察法により解析した。その結果、レーザー照射により形成された可干渉な弾性波が相互作用することにより、周期的に強弱を持つ歪場が形成され、混合物の相分離によるパターン形成に至ることを明らかにした。

論文

Structure evolution and corresponding electrical properties in weakly bound Co-C60 mixture

境 誠司; 楢本 洋; Xu, Y.; Priyanto, T. H.; Lavrentiev, V.; 鳴海 一雅

Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.788, p.L11.49.1 - L11.49.6, 2004/00

真空同時蒸着法によりCoとC$$_{60}$$の混合物質薄膜を作製して、Co濃度の関数として微視的構造変化と電気的特性を評価した。Coも濃度としては、CoxC$$_{60}$$ (x: C$$_{60}$$分子当のコバルト原子数)の形で、x=0.5-700の範囲で制御した。混合による薄膜の体積膨張とC$$_{60}$$分子振動のラマンモードの低波数側へのシフト量をCo濃度を制御して評価することにより、混合物質の構成要素としては、C$$_{60}$$にCo原子が配位したC$$_{60}$$よりなる基相と析出したCo超粒子であることを示した。さらに詳細な解析から、C$$_{60}$$基相中ではCo原子からC$$_{60}$$に1個の電子供与が生じ、x=4でこの現象は飽和することを見いだした。また混合物質の電気伝導特性は、Co濃度に依存した、異なった伝導特性を示した。すなわち低濃度から順に、x$$leq$$4では、C$$_{60}$$基相に由来すると考えられる半導体的温度依存性を示すこと、4$$<$$x$$<$$60では孤立Co粒子が関与するバリアブルレンジホッピング機構が支配的であること、さらにx$$geq$$60の高濃度では、Co粒子間にパーコレーション経路が形成されることによる金属伝導機構が作用していることなどを明らかにした。

論文

Isolation of Co nanoparticles by C$$_{60}$$ molecules in co-deposited film

Lavrentiev, V.; 阿部 弘亨*; 山本 春也; 楢本 洋; 鳴海 一雅

Materials Letters, 57(24-25), p.4093 - 4097, 2003/08

 被引用回数:9 パーセンタイル:38(Materials Science, Multidisciplinary)

大気中でも安定な、高コバルト濃度の混合膜を、同時蒸着法により作製し、原子間力顕微鏡,透過型電子顕微鏡、X線回折計及びラマン分光法を用いて、その微視的な構造解析を行った。その結果、コバルト粒子は面心立方構造をとり、周囲をC$$_{60}$$分子層で被覆されていることを明らかにした。この被覆過程には、ラマン分光などから、電子の授受による配位結合形成が重要な役割を果たしているとの結論を得た。

論文

Ferromagnetism and giant magnetoresistance in the rare-earth fullerides Eu$$_{6-x}$$Sr$$_x$$C$$_{60}$$

石井 賢司; 藤原 明比古*; 壽榮松 宏仁*; 久保園 芳博*

Physical Review B, 65(13), p.134431_1 - 134431_6, 2002/03

 被引用回数:32 パーセンタイル:78.19(Materials Science, Multidisciplinary)

Euとフラーレンの化合物であるEu$$_6$$C$$_{60}$$及びEuをSrで置換したEu$$_{6-x}$$Sr$$_x$$C$$_{60}$$について、結晶構造,磁性,電気伝導についての研究を行った。これらの結晶構造は他の$$M_6$$C$$_{60}$$($$M$$はアルカリ金属、または、アルカリ土類金属)と同じbcc構造である。磁気測定では、磁気モーメントは+2価のEu原子(S=7/2)が担っていることがわかり、$$T_C$$=10-14Kにおいて強磁性転移が観測された。Eu$$_6$$C$$_{60}$$では比熱の測定からも強磁性転移が確認できた。Eu$$_{6-x}$$Sr$$_x$$C$$_{60}$$の物性でもっとも特徴的な点は、低温で非常に大きな負の磁気抵抗が観測される点である。Eu$$_6$$C$$_{60}$$の抵抗率の比$$rho$$($$H$$=9T)/$$rho$$($$H$$=0T)は、1Kで約10$$^{-3}$$にも及ぶ。このような巨大磁気抵抗はC$$_{60}$$上の伝導電子とEu上の4$$f$$電子の間に非常に強い$$pi$$-$$f$$相互作用が働いていることを示している。

報告書

Dynamic behaviors of fragments ejected from the surface of carbon materials by laser ablation

依田 修; 宮下 敦巳; 大柳 孝純*; 村上 浩一*

JAERI-M 92-173, 27 Pages, 1992/10

JAERI-M-92-173.pdf:1.22MB

レーザープラズマをX線源として用いた実験室規模時間分解X線吸収分光装置を作製した。この装置の使用主目的は、100eV~3keVのエネルギー範囲で、プロセス中の種々の物質のX線吸収微細構造を観測することである。金をターゲットに用いた時、300eV以下のエネルギー範囲で最も強いX線が発生し、パルス当り10$$^{16}$$光子の強度が得られた。分光器のエネルギー分解能は5$$times$$10$$^{-3}$$であった。炭素棒とC$$_{60}$$粉末を圧縮したペレットのレーザーアブレーションによって表面から飛び出したフラグメントの動的挙動を観測した。フラグメントの主成分はクラスター、中性原子及びイオンで速度は$$<$$1.4$$times$$10$$^{4}$$m/s(クラスター)及び$$>$$2$$times$$10$$^{4}$$m/s(原子、イオン)と評価された。弱いアブレーションではC$$_{60}$$分子がペレットから分解せずに飛び出す。XPSの結果から、ペレット表面の組織変化が示唆され、SEMの結果から、表面散乱模型で説明できる周期構造が見い出された。

口頭

Sputtering of amorphous SiN induced by 540 keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$ irradiation

北山 巧*; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鈴木 基史*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 松田 誠; 左高 正雄*; 辻本 将彦*; 磯田 正二*; et al.

no journal, , 

Our previous observation of an ion track by sub-MeV C$$_{60}$$-ion bombardment of a thin amorphous silicon nitride (a-SiN) film with transmission-electron microscopy has shown a large density reduction in the core region, and it suggests emission of thousands of atoms from the cylindrical region. Sputtering yields of a-SiN films by C$$_{60}$$ ions were evaluated in order to confirm this suggestion. A-SiN films deposited on Si(001) were irradiated with 540-keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$ ions at fluences up to 1$$times$$10$$^{14}$$ ions/cm$$^{2}$$. The sputtering yields were estimated to be 3900$$pm$$500 N atoms/ion and 1500$$pm$$1000 Si atoms/ion from the compositional depth profiles measured with high-resolution Rutherford-backscattering spectroscopy. The sputtering yield of N was two orders of magnitude larger than the elastic sputtering yield by the SRIM code, indicating that the observed sputtering yield cannot be explained by elastic collisions. The sputtering yield of an a-SiN film by 100-MeV Xe$$^{25+}$$ ions was also measured in order to confirm a possibility of electronic sputtering. Although the electronic stopping power for 100-MeV Xe is more than twice larger than that for 540-keV C$$_{60}$$, the observed sputtering yield was only $$sim$$500$$pm$$200 atoms/ion. This indicates that the huge sputtering yield for the impact of C$$_{60}$$ cannot be explained by the simple electronic sputtering, either. A possible explanation might be a synergistic effect of the nuclear and electronic stopping powers.

口頭

高速C$$_{60}$$$$^{+}$$イオン透過によるSiN薄膜上のアミノ酸の前方二次イオン放出,2

中嶋 薫*; 丸毛 智矢*; 永野 賢悟*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一

no journal, , 

高分子/生体分子の二次イオン質量分析においては目的の分子を壊さずに効率よくイオン化して放出させることが重要になる。我々はアミノ酸試料(フェニルアラニン)の基板に自立薄膜(非晶質SiN)を使用して、MeV C$$_{60}$$イオンを基板(SiN)側から照射することで前方(下流)に放出される分子イオン収量の向上及び分子イオンの断片化(フラグメンテーション)抑制に関わる有効性を調べている。これまでに二次イオン出射面での一次イオンからのエネルギー付与密度がC$$_{60}$$イオンによるものよりも、C$$_{60}$$が解離して炭素原子間距離が広がることによりエネルギー付与密度が適度に小さくなった方が無傷の分子イオン収量が向上し、かつ断片化がより抑制されることを明らかにした。今回は、試料の上流に設置した別のSiN薄膜でC$$_{60}$$$$^{+}$$イオンを分解させて得た、60個の炭素原子(イオン)を同時に試料に照射したときの二次イオンの質量分析を行った。すなわち、炭素原子間距離が極端に大きい場合を検討した。その結果、フェニルアラニンの分子イオン収量は$$sim$$0であり、また、フェニルアラニン分子に特徴的な高分子量フラグメントイオンは収量が相対的に小さくなった。この結果は、高い分子イオン収量と断片化の抑制を両立させるためには、クラスター照射によってもたらされる適度なエネルギー付与密度が重要であることを示唆している。

口頭

C$$_{60}$$イオン照射による非晶質SiNのスパッタリング

北山 巧*; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 松田 誠; 左高 正雄*; 木村 健二*

no journal, , 

非晶質SiN膜へのサブMeV C$$_{60}$$イオン照射では、スパッタリング収量(入射イオン1個当たりのスパッタされる標的原子数)が数千個に達するが、この観測結果は弾性衝突によるスパッタリング(弾性的スパッタリング)では説明できない。一方、非晶質SiN膜への100MeV Xe$$^{25+}$$イオン照射では、C$$_{60}$$イオンに比べて電子的阻止能が大きいにもかかわらず観測されたスパッタリング収量は非常に小さく、この阻止能に依存するスパッタリング(電子的スパッタリング)でも冒頭の観測結果が説明できないことが明らかになった。本研究では、核的阻止能と電子的阻止能の比が異なるエネルギーでC$$_{60}$$イオンを非晶質SiN膜に照射し、各阻止能がスパッタリング収量にどのように影響するかを調べた。得られた結果を基に、冒頭に述べた観測結果が電子的スパッタリングと弾性的スパッタリングの相乗効果を考えることにより説明可能であることを報告する。

口頭

540keV C$$_{60}$$イオン照射による非晶質シリコン窒化膜のスパッタリング

北山 巧*; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 松田 誠; 左高 正雄*

no journal, , 

サブMeV C$$_{60}$$イオン照射によって非晶質SiN膜中に形成されるイオントラックの微細構造を調べる研究の過程で、C$$_{60}$$イオン1個で数千個の標的原子がスパッタリングされることを示唆する実験結果を得た。この現象を詳細に調べるために、Si基板上の非晶質SiN膜(厚さ30nm)に540keV C$$_{60}$$$$^{2+}$$イオンを照射し、高分解能ラザフォード後方散乱法によってそのスパッタリング収量を評価した結果、およそ5000atoms/ionであった。この観測結果は弾性衝突によるスパッタリングでは説明できない。一方、非晶質SiN膜への100MeV Xe$$^{25+}$$イオン照射では、C$$_{60}$$イオンに比べて電子へのエネルギー付与が約2倍大きいにもかかわらず約1桁小さなスパッタリング収量が観測された。したがって、電子励起によるスパッタリングでも今回の結果は説明できない。そこで電子的阻止能${it S}$ $$_{e}$$、核的阻止能${it S}$ $$_{n}$$からなる有効阻止能${it S}$ $$_{eff}$$ = ${it S}$ $$_{e}$$ +${it K}$ $$_{eff}$$${it S}$ $$_{n}$$(${it K}$ $$_{eff}$$は定数)を導入し、${it K}$ $$_{eff}$$ = 2.5とすると観測されたスパッタリング収量が有効阻止能の4乗に比例することがわかった。さらに、イオントラックの半径も有効阻止能で説明できることがわかった。${it K}$ $$_{eff}$$の値が持つ物理的意味の検討は今後の課題であるが、今回の結果は、電子励起効果が大きい材料でのイオン照射による原子変位には、電子励起と相乗して弾性衝突が大きく寄与するということを示している。

口頭

有機高分子薄膜へのC$$_{60}$$イオン照射と単原子重イオン照射による2次イオン放出強度の比較

平田 浩一*; 齋藤 勇一; 鳴海 一雅; 千葉 敦也; 山田 圭介; 的場 史朗

no journal, , 

クラスター数が大きく安定で2次イオン強度が高いC$$_{60}$$を、sub-MeV$$sim$$数MeV領域まで加速し、1次イオンとして用いた2次イオン質量分析装置を開発している。今回、市販の2次イオン質量分析装置の1次イオンとして広く用いられている重イオンの一つであるBiイオンとC$$_{60}$$イオンとで、1次イオン種は異なるが2次イオン強度を比較し、より高強度な2次イオンが得られることを実証した。具体的には、市販装置で一般的に用いられる30keVのBiイオン及び同エネルギーのC$$_{60}$$イオンを有機高分子(PMMA)薄膜試料に照射し、試料表面から放出された2次イオンを飛行時間型質量分析器で分析した。その結果、C$$_{60}$$を1次イオンとして用いる方が、PMMAの分析に必要なフィンガープリントに相当する2次イオン(C$$_2$$H$$_3$$O$$_2$$$$^+$$とC$$_4$$H$$_5$$O$$^+$$)の強度が20倍強かった。C$$_{60}$$イオンのエネルギーを1MeV程度にすることによりさらに2次イオン強度が数倍以上強くなることを確認しており、従来のものより高感度な分析を実現できることがわかった。

口頭

5MeV C$$_{60}$$イオンを用いたアミノ酸の透過二次イオン質量分析

中嶋 薫*; 永野 賢悟*; 鈴木 基史*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 平田 浩一*; 木村 健二*

no journal, , 

高分子/生体分子の二次イオン質量分析(SIMS)において高感度の測定を行うためには、目的の分子を壊さずに効率よくイオン化して放出させることが重要である。そこで分子イオンの収量が多い透過SIMSに、分子の断片化抑制効果が高いクラスターイオンを一次イオンとして用いる方式の有効性について調べた。非晶質SiN自立薄膜にアミノ酸(フェニルアラニン)薄膜を真空蒸着した試料に、SiN側から5MeV C$$_{60}$$$$^{+}$$イオンを照射し、透過したイオンによって試料より前方に放出される二次イオンを質量分析し、フェニルアラニン側から照射して後方に二次イオンが放出される場合と比べた。その結果、分子イオンの収量向上及び分子イオンの断片化抑制の効果が高いことが認められた。これは、フェニルアラニン薄膜表面において60個の炭素イオン/原子が十分に近接している状態(後方放出の場合)か適度に離れている状態(前方放出の場合)かで、入射イオンによるエネルギー付与密度が異なっていることを考慮すると定性的に説明できる。これによりMeV領域の高速C$$_{60}$$イオンを用いて二次イオンを前方に放出させる透過SIMSが高分子/生体分子の分析に対して有望な手法であることを示した。

口頭

高速イオンの照射点付近における温度の測定

林 宏昭*; 北山 巧*; 森田 陽亮*; 中嶋 薫*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 松田 誠; 左高 正雄*; 辻本 将彦*; 磯田 正二*; et al.

no journal, , 

固体に高速重イオンを照射すると、イオンの軌跡に沿って直径数nmの円筒状の照射痕(イオントラック)が生成する場合がある。このイオントラックは、固体内の電子励起に伴うイオン軌跡近傍の温度上昇によるものと考えられている。しかし、イオン軌跡近傍の温度上昇は数ピコ秒の極短時間に数nmの極めて狭い領域で生じるため、温度の直接測定はこれまで非常に困難であった。そこで本研究では、試料表面上の金ナノ粒子が、表面温度が金の融点(約1300K)を超えると表面から脱離することを利用して局所的な温度を測定する手法を提案する。表面に金ナノ粒子を蒸着した非晶質窒化ケイ素薄膜に1.11MeVのC$$_{60}$$イオンを照射した後、薄膜を透過型電子顕微鏡で観察した結果、各イオントラックの周囲数nmにわたって金ナノ粒子が消失している領域が観察され、照射によってイオントラック近傍の温度が少なくとも金の融点を超えたことが明らかになった。イオントラック形成機構を説明するモデルの中で現在最も有力と考えられている非弾性熱スパイクモデルを用いて、照射点近傍の温度分布を計算した結果、金の融点を超える領域は金ナノ粒子が消失した領域とおおよそ一致した。この結果より本手法が局所的な温度を測定する方法として適切なものであると結論した。

口頭

高速C$$_{60}$$$$^{+}$$イオン透過によるアミノ酸およびペプチドの前方二次イオン放出

丸毛 智矢*; 中嶋 薫*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一

no journal, , 

単原子の一次イオンを試料に入射したときに入射側に放出される二次イオンを検出・分析する従来の二次イオン質量分析法(SIMS)では、生体試料の分析においては試料中の高分子を細かい断片にまでは壊さずに効率よくイオン化して放出させることが困難という欠点がある。そこで、本研究では、高分子二次イオンの断片化抑制と高収量化を目的として、高分子を細かく断片化せずに放出できることが期待されるクラスターイオンを一次イオンとして用いるとともに、薄膜試料において二次イオン収量がより高いと確認されている、透過一次イオンによる前方(試料下流側)での二次イオン検出を行う手法の有効性を調べた。厚さ20nmの非晶質SiN自立薄膜上に作製したアミノ酸薄膜に、SiN側から5MeV C$$_{60}$$$$^{+}$$イオンを照射したときに前方に放出される二次イオンの質量分析を行った。その結果、従来方法に比べて分子イオン収量の向上及び分子イオン断片化抑制の効果が認められ、本手法が、アミノ酸の分析に有効であることを明らかにした。講演では、さらに分子量の大きなペプチドについての結果と併せて議論する。

口頭

C$$_{60}$$フラーレンのセシウム吸着材としての可能性の理論計算

小林 孝徳; 横山 啓一

no journal, , 

二原子分子CsIの回転定数の違いを利用して、同位体選択的な$$^{135}$$Csの回収を計画している。その際には、CsIは吸着しないがCsは吸着するような物質で$$^{135}$$Csを回収することが考えられる。われわれはCsIとCsの化学的性質の相違に着目し、フラーレンが吸着物質として望ましい可能性があることを予想した。この予想が妥当なものであるかどうかを確かめるため、量子化学計算を利用して、Cs, CsIなどとの相互作用エネルギーを計算した。また、土壌中に存在し、Cs$$^+$$を吸収することで知られているイライトという鉱物のクラスターモデルについても同様の計算を行った。この結果から、フラーレンはCsIが沢山ある系の中からCsのみを取り出す吸着剤として適していると思われる。発表当日では熱力学的な考察についても行う予定である。

口頭

Depth concentration profile of cesium in fullerene absorbent studied by synchrotron X-ray photoelectron spectroscopy

関口 哲弘; 横山 啓一; 魚住 雄輝*; 矢野 雅大; 朝岡 秀人; 鈴木 伸一; 矢板 毅

no journal, , 

長寿命放射性核種であるセシウム-135($$^{135}$$Cs)の除去に向け、Cs元素の同位体分離技術の確立を目指す。近年、同位体選択的レーザー光分解により$$^{135}$$Cs原子のみを生成させるスキームが提案された。しかし、Cs原子($$^{135}$$Cs)とヨウ化セシウム分子($$^{133}$$CsI)との衝突による同位体交換を防ぐために、Cs原子だけを選択的に捕集し、CsI分子を吸蔵しないような材料開発が必須である。今回 吸蔵剤候補としてフラーレンC$$_{60}$$分子を用い、Csの深さ方向の濃度分布を評価する実験を行った。角度分解X線光電子分光測定を行い、C$$_{60}$$固体へCs原子およびCsI分子がどの程度材料深部へ吸蔵されるかを評価した。Cs原子はC$$_{60}$$固体内に浸透するという実験結果を得た。一方、CsI分子はC$$_{60}$$上に堆積はするが、CsIとC$$_{60}$$の界面より奥へは入らない。Cs同位体分離のための選択吸蔵材料としてフラーレン固体が有望である可能性があることを示す結果である。また発表ではArスパッター法と放射光X線の光子エネルギー依存性による深さ分布測定についてもあわせて報告する。

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